飲食店・美容院・美容室・顧客管理・販売促進・ホスピタリティ・crm・csの本・書籍
「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい!
高田 靖久   
とある飲食店。ふたごの兄弟が働いていた。
同じ年、同じキャリアで、ふたりとも腕がよかった。
店は大繁盛。腕がたつ料理人がふたりもいるのだ。当然といってもいいだろう。

しかし、事態は急変する。
ある日、店のオーナーである父が、病に倒れる。
店の運営は、ふたごの兄に任される。でも、店は心配ない。もともと父は10年前に隠居しており、店には全く顔を出していなかった。料理にも手を出さないし、父についているお客もほとんどいない。経理は母がしっかり管理している。
客からしても、店の料理、雰囲気、接客。何一つ変わりはなかった。
いままで通り、美味しい料理さえだしていれば、店は大丈夫。兄だけではなく、店にたずさわる多くの人が、そう思っていた。

―ところが、そうは問屋が卸さなかった。
お店の売上げが、下がり始めたのだ。一気にではないが、確実にジワジワと下がり続けた。兄は何が起こっているのか理解できない。だって、今までと同じ料理を提供し、同じ接客を行い、同じ雰囲気を、かもし出しているのだ。
しかし、その後どんなに料理に力を入れても、売上げはいっこうに回復しなかった。

「何か手を打たなければ。」
そう考えた兄は、値下げに踏み切ろうとする。
しかし、そこに弟が待ったをかける。
「値下げをするのは、いつでもできる。半年だけオレのやり方でやらせてくれないか?それでもダメなら、その後、値下げに踏み切ろう。」
弟の提案で、店は半年間だけ弟の指揮で運営されることとなる。

弟に運営が任されてからも、店の料理、雰囲気、接客。それまでと何一つ変わりはなかった。しかし、弟はそれ以外の「あること」に力を入れはじめた。

ここから、不思議なことがおこりだす。
なんと、お店の売上げが、回復し始めるのだ。一気に回復するわけではないが、確実にジワジワと上がり続けた。
―そして半年後。店は、父が倒れる前の売上げにまで、回復されていた。

この兄弟。違いは一体なんだったのか?
同じ年で、同じキャリアを持つふたり。そのふたりが

同じ店で、
同じ商品を、
同じ価格で、
同じ接客で提供した。

しかし、業績には違いが生まれた。弟が運営した方が、業績は良かったのである。
ここには一体、何の違いがあるのか?

ー理由はひとつ。
それは『売り方』に違いがある。

兄は父の料理にだけ焦点をあてていた。
だから、父が倒れたとき、店の運営には影響がないと思った。
しかし、弟は違った。弟は、父の「売り方」にも焦点をあてていた。父が倒れ、おざなりになっていた「売り方」に気づき、それを実行したのだ。

このように、今までと同じ商品を、同じ価格で売るのならば、
『売り方』さえ変えていけば、商売は劇的に変化する。
そしてこれは、全ての商売に共通して言える。

じじつ、私はそのような企業を多く見てきた。
福岡市の寿司店では、あるきかっけで売り方を劇的に変えた。
その結果。年商2800万円だった売上高は、
短期間に1億円にまで引きあがった。

北九州市の飲食店は、一時、借金5000万円を抱え、自己破産まで考えていた。
しかし「売り方」を変えたことにより、
数年後には借金5000万円を返済。3年間で売上げを3倍に拡大させた。

出雲市の老舗温泉宿では、バブル崩壊後、業績が悪化。限界に来ていたある日、新しい「売り方」への一歩を踏み出した。その結果、その年の8月には、
前年比300%の売上げを記録した。さらに翌年の8月には創業50年にして過去最高の売上げを叩きだした。

ある、美容師は、独立を果たした。しかし、今まで勤めていた美容院では、割引きだけに集客を頼っていた。割引きがないとお客様は来ないとさえ思っていた。しかし、当社の考えに半信半疑ながらも、自店では割引きだけの経営から脱却。結果、お店は大繁盛。独立して1年。お断りするお客様が増え、早くも次の出店を検討している。

このような事例は、紹介しはじめると、きりが無い。
しかし、これらの企業に、共通して言えることがある。それは、商品力を強化して、あるいは価格を安くして、業績を伸ばしたのでは無い、ということ。むしろ商品はそのままに、
「売り方」を変えることにより、商売を劇的に変化させたのだ。

だからといって、私は商品を「おろそかにして良い」と言っているのではない。
やはり商売。商品は重要だ。今紹介した3店舗も、それは素晴らしい商品力を持っている。そもそも、商品に満足しなければ、お客様はリピートしないだろう。

しかし、言わせてもらえば、どこの企業でも商品には自信がある。
「うちの商品が一番良い。」
ほどんどの企業が、その様に思っているのだ。

私が言うのもおかしいがー、
よその会社では真似できない、飛び抜けた商品が作れれば、商売は繁盛する。これは覆しようのない事実だ。ところが、そんな商品ができないから苦労する。商品力だけで客を呼ぶ。そんな商品はなかなか生まれない。
「いやいや、うちは飛び抜けた、凄い商品を持っている」
だったら、あなたの会社は繁盛している。
えっ? 繁盛していない? であれば、その商品は飛び抜けてはいない。どこでも同程度の商品をもっている。あなたが飛び抜けていると思っているだけ。

だが、落ち込む必要はない。世の中の99%の会社が同じ状態だ。商品力ではドングリの背比べ。違うのは「売り方」なのだ。

私は、コンピュータ屋である。
飲食店や美容院に、顧客管理ソフトを長年販売してきた。
自慢ではないが、過去に800店舗以上の販売実績を持ちあわせている。
そのなかで、効果の高い顧客管理のノウハウを身につけてきた。
これを【店舗経営 売れる仕組み構築プログラム】として体系化することに成功した。

私が提唱する
【売れる仕組み構築プログラム】には4つのステップがある。
   第1ステップは、新規客を【集める】手法 
   第2ステップは、客を【固定客にする】手法
   第3ステップは、客を【成長させる】手法
   第4ステップは、客を【維持する】手法 
本書では、なかでも、第1ステップの「新規客を【集める】手法」と、第2ステップの、「客を【固定客にする】手法」に、焦点をあてた書籍である。

一見、関連性のないように思える2つのステップだが、私の持論では、この2つを1セットにして行わないことには、顧客戦略の成功は難しいとさえ思っている。

多くのお店が割引きだけを使い、新規客を集めている。しかし、割引きで集客したお客様は、その時1回きりで終わりやすい。多くの経費と割引きを使い、新規客を集めても、そのお客様が右から左では意味がない。だからこのお客様を固定客にする必要がある。これを私たちは『固定客化』と呼んでいる。

ところが、いくら固定客化の販促を行っても、そもそもが割引きだけでお客様を集め、お店と「価値観」が違うお客様を集めてしまっては意味がない。固定客化の最大の近道は「そもそもが固定客になりやすいお客様」を集めることなのだ。
つまり、「新規集客」のときから「固定客化」を意識していなければ、なかなかお客様は定着しにくいという考えだ。だから第1ステップと第2ステップは、1セットで考えておく必要がある。

しかし、この考えは、あまり語られていない。「そもそもが、固定客になりやすいお客様」なんて、どんな本を読んでも載っていない。
コンピュータ屋の私だからこそ、実際の店舗データを数多く見ることができる。日本で一番多くの店舗データを見てきたからこそ語れる、画期的な経営手法なのだ。


本書では、実際のデータと、多くの成功事例を交えて紹介する。

第1章では、「なぜ、お客様はリピートしないのか」。その理由と固定客化に焦点をあてるメリットを、成功事例を交え紹介する。

第2章では、「どうすればお客様がリピートするのか」。それをデータを使い解明する。固定客化には原理原則がある。驚きの分析結果を基に、販促理論に展開していく。

第3章が、この書籍の肝の一つとなる。「7倍固定客にするツール」をご紹介する。
いつ、何をつかい、どうすればいいのかまで、手取り足取りナビゲートしていく。

第4章では「顧客情報活用の重要性」について述べる。手っ取り早く売上げを上げる秘密が、この章に隠されている。また、これが有効活用できなければ顧客戦略は成功しない。

第5章から第6章にかけてが、本書のもうひとつの肝となる。
「なぜ、新規客が集まらないのか」、その理由を解明後、具体的に「新規客がザクザク集まる方法」を紹介する。私が提唱している、「アナログブログ」、「店員さんスター戦略」、「配布メニュー」など、あなたがはじめて耳にするような、革新的なアイディアが満載だ。

最終章では、「販促術よりも大事なこと」に触れる。遠回りのようだが、これこそが売上げ拡大の魔法なのである。私自身が売上げを上げてきた手法である。本書の内容と少しずれるかも知れないが、あえて最終章で語らせていただいた。

本書は、長年「素晴らしい商品さえ提供していれば、お客は勝手についてくる」「割引きを使わないと、お客様は集まらない」と考えていた経営者にとって、まさに目からウロコの話しとなるだろう。

売り方さえ変えれば、あなたの会社は儲かりはじめる。
正しい売り方をすれば、あなたの店には行列が並ぶ。

そう。私たちのクライアント様がそうであったように。
本書を読み終える頃には、その理由がおわかりいただけるだろう。

Copyright (C) 【九州のハムサラダくん】 米満和彦&高田靖久 All Rights Reserved.